「お食事処 野さか」は2000年7月19日(秩父川瀬祭りと同じ日)に和食処として秩父市野坂町に開店しました。
野さか開店当時の看板には大きく「秩父の御食事」(写真は開店当初の看板)と入れてありました。この看板を見て来店したお客様の反応は「秩父の御食事」って、どんな料理?こんな質問を度々頂戴いたしました。
私は単に秩父での御食事は「野さか」でとお奨めのつもりで看板にしたので、上手く答えられませんでした。しかし、お客様はそうは受け取ってくれません。
「秩父の食事」とは?秩父独自の特徴を持った食事は何か?やはり「秩父と言ったら蕎麦か・・・」では「野さか」独自の蕎麦は出来ないか・・・。
いろいろと考えた結果、大根おろしをベースに、蕎麦の上にのったつまの食感を味わってもらう新たな蕎麦「高砂そば」を開発しました。
「名物元祖高砂そば」は、和食と合わせ「美味しい」とお客様から好評を頂きましたが、店側の思いとしてはまだまだ物足りません。やはりこのままでは「秩父名物のそば」だ、新たに秩父独特の食事を創りたい。そんな思いが出てきました。
何か創ろう。何か作ろう。蕎麦でなく「秩父ならではの食事」「そこでしか食べられない」「オンリーワン」を・・・。ますます思いは募りました。
2005年初め、知人との夕食会の席で、たまたま「秩父名物豚肉味噌漬」の話題が出ました。「豚肉味噌漬」の元は古来より、捕れた猪肉の保存方法であったと秩父地方に伝わる秩父伝統の名物です。この秩父の伝統食から、この味噌漬を応用して、新たな独自の商品に成らないか?
以来、毎日毎日お店を閉めた後、夜中まで試行錯誤を重ね、知人達と繰り返し試食を繰り返し様々な意見をいただきました。いろいろと思案を重ね、ついに2008年初め「秩父名物豚肉味噌漬」丼の試作品が完成しました。
豚肉味噌漬の仕込みには手を掛けている、独自で開発した醤油だれとのマッチングは問題なし、食べていただいた人達からのお墨付きもあって、自信は持てましたが、お客様に出すのにまだまだ一抹の不安もありました。
美味しい「豚の丼」といえばやっぱり北海道が本場です。実際に本場の「豚丼」が食べてみたい。2008年5月に居たたまれず豚丼の本場北海道帯広へ視察研修へ行き、本場の「豚丼」を現地で食してきました。
現地で豚丼の名店の数々を巡り、この料理ならお客様に認めていただけると自信が湧いてきました。「よし!豚肉味噌漬け丼一本で勝負しよう!!」と覚悟は決まりました。
商品は出来ました。さてネーミングは?迷いました。「焼き豚丼」「味噌豚焼き丼」「豚肉味噌漬け丼」等々。どうも、語呂がしっくりしない。お客様に覚えやすく、親しまれるネーミングは・・・。
「味噌豚丼」では違うし、「豚味噌丼」では少し堅すぎる・・・いろいろと思案を重ね、ある日仕込みの最中にふっと浮かんだのが「豚みそ丼」と「」豚みそ重」。丼で提供するから、やっぱり「豚みそ丼」か!!
名は体を表すと言われます。ぴったりの命名が浮かびました。永くかかりましたが、やっと本当にお客様にお奨めできる「秩父の食事」「秩父の名物」となりうる逸品が誕生したことに私も含め一同満足できました。永くかかりました。
以上のように豚肉とみそ・醤油だれが炭火で焼かれた、食感、芳ばしい香りが、お客様方から、「これは旨い!」「まさに美味だ!」とお褒めを頂く「豚みそ丼」が、秩父の“野さか”から初めて誕生しました。
お食事処野さかは、2008年7月8日に豚みそ丼専門店として新たにリニューアルオープンをして現在に至ります。これからも“野さか”を宜しくお願い致します。